神奈川県重症心身障害児(者)を守る会

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神奈川支部 : 伊藤 光子




07月

今、なぜ守る会?ひとりでも多くの方が会員に  神奈川病院ひまわり会 中村紀夫

わが子は重心専門病棟で41歳

長男が生まれて、重度の障害を持っていることを医師から知らされたときのショックは、あれから41年たった今でも忘れることができません。

10年ほど、在宅でがんばったものの医療介護が必要になったということもあり、神奈川病院に入所しました。生まれて間もなくのお医者さんの見立ては10歳まで生きられるかどうか、その10歳を過ぎると今度は、成人になることは無理でしょうと言われました。その子が今41歳。

重心専門病棟の24時間体制で見守ってくれる療育介護が無ければ、当初のお医者さんのお見立て通り、おそらくは20歳を超えることは難しかったでしょう。

食事は鼻からの経管で、呼吸も気管切開してたんの詰まらないようにし、体温調節もうまくできないような状態ですが、調子のよい時に声をかければ、にんまり笑ってくれます。

親ばかな表現を許してもらえば、無心なその笑顔が時に仏様にも見えるのです。

 

重心者の看護は一般病棟ではできない?

ところが一昨年、腎臓結石ができて尿がうまく出なくなってしまいました。

結石の除去をするには、手術のできる泌尿器科のある病院に入院させなければいけません。その病院の泌尿器科の先生に相談したところ、子供の状態が手術に耐えられるかどうかの問題とは別に、一般病棟しかないその病院では、「このようなお子さんの術前術後の看護ができない」とおっしゃるのです。

アラ・フォーにして重症心身障害者のわが子は、「このようなお子さん」と呼ばれる子なのだと、その時あらためて思い知りました。とは言え、その先生を非難することはできません。先生は専門のお立場から真摯にわが子を診察してくださり、そして重心者を一般病棟では受け入れられない現実を率直に語ってくださったのです。

 

重心児(者)とくくることは人権侵害?

幸い神奈川病院重心病棟の先生や看護師の方たちによる昼夜を分かたずの看護と食事内容の微妙な調整で、手術をせずに事なきを得ましたが、今回の事態で勉強したことは、というよりそんなことはとうにわかってはいたことですが、重心児・者にはやはり特別な環境が用意されていなければ生きていくことも難しいという現実です。

重症心身障害児(者)という特別なくくりを設ける事に、差別であり人権侵害であるとして反対する意見もあります。しかし、手厚い医療介護がなければ「いのち」を保つことも難しく、しかも複合的な重度障害者としての生活ケアを必要とする重心児(者)にとって、そのような議論は現実を無視した観念論でしかありません。そのような議論をする方には、ぜひ一度重心児(者)に会っていただきたい、また療育施設の現場も見ていただきたいと思います。

 

法改正と重心

昨年の法改正で他の障害者の方と統合され、重症心身障害児(者)という言葉が法律の上ではあいまいになりました。

私たちは全国守る会の北浦会長をはじめとした先達が苦労して築いてきた「重心」という弱者のための特別な施策に、ある意味安住していたのかもしれません。

今回の法改正の是非はともかくとして、「重心」というくくりがなくなるということは、これからの重心児(者)にとって重大な問題をはらむととらえる必要があります。

障害児を持つ親の悩みを共有するだけなら他の障害者団体に入っていてもよかったかもしれません。しかし、重心という保護対象の規定が無くなれば、全国で348万人いる障害者の中に埋没してしまうことになりかねません。全障害者のわずか1%(3万8千人)にすぎない重心ですが、私の子供の例を引き出すまでもなく、他の障害者のかたとは違った特別な施策を講じなければいけない子供たち。親や保護者が一つの組織にまとまって、声を出そうにも出せない子供たちに代わって、「重心の存在を忘れないでください」と強く訴え続けていかなければなりません。

数は力なりではありませんが、一人でも多くの人に会員になっていただき、国や自治体に働きかけるパワーを増やす必要があります。さらに対象となる全体の数が少ないからこそ、重心児(者)を持つ保護者の方にはもれなく会員になっていただくことが重要です。

 

会員になると面倒なことがある?

私自身の経験からすると面倒なことはまったくありませんでした。時間をとられることもありませんでした。もっとも昨年から幹事団の一人に加わるようになって、いろいろ会議やら何やらで忙しくなりましたが、少なくとも会員としてやらなければいけない義務的なことはいっさいありません。

 

在宅の人も会員に

今、全国で重心専門施設の入所希望待機者が3,703人(全国守る会平成23~24年調査)いるとされます。

在宅で頑張っている方の中にも、適当な通所施設がなく困っているかたもいます。また、自分が病気になった時のショート・ステイをどこに頼めばよいのかは、在宅の方の共通の悩みとも言えるでしょう。18歳以下のお子さんの場合、教育や訓練の場所や便宜についても、お悩みがあるのではないでしょうか。

これまでは、はっきりと重症心身障害者という言葉のもとに重心のための施策があったのにこれからどうなるのか。

本当は現在、在宅で頑張っていらっしゃる方にこそ、これからの心配があるはずで、そのために「重心児(者)を守る会」の存在がますます重要になってくるのです。

 私自身、正直に言えばこれまで守る会をあまり身近に感じたことは無かったのですが、重心カテゴリーが他の障害区分と統合された今、「重症心身障害児(者)を守る会」がわが子、あるいはわが子と同じ重度かつ複合的な障害を持つお子さん(成人の方も)にとってどれだけ大切かあらためて感じています。まだ守る会に入会されていない方を、一人でも多くお誘いできればと思います。