神奈川県重症心身障害児(者)を守る会公式HPです。

神奈川支部 : 中村 紀夫




会長挨拶

令和元年度、伊藤光子前会長の後を受け神奈川県重症心身障害児(者)を守る会(以下県・守る会)会長に就任しました中村紀夫です。
伊藤前会長は、2008年会長に就任以来、自ら24時間電話を持ちながらの相談を受け、県下31市町村の障害児者担当部署をすべて回るなど、まさに全身全霊、守る会の活動に専心してくださいました。
また、2016年に発足50周年記念事業の展開、2018年には全国守る会・関東甲信越ブロック大会を神奈川で成功裏に開催するなど大きな成果をあげて来られました。ここに、県・守る会会員を代表し、伊藤前会長の功績と労に深く感謝の意を表します。


さて、全国及び県の守る会、そして重症心身障害児(者)を取り巻く社会的な環境は大きく変化しております。
勿論これまでの北浦雅子全国守る会会長をはじめとする先達の運動のおかげで、多くの重症児施設ができたことや、障害者年金、各種医療補助等により当事者が経済的に一応の安定を得られていることなど、50年前には想像もできなかったような環境が整えられてきました。
その一方で、親の高齢化により、在宅での介護の困難さが増している事は勿論、施設入所者でさえ、これまでのように親が面会し世話をすることが難しくなってきているケースも増えています。
また、医療の高度化は、人工呼吸器など重篤な医療ケアーを必要とする方が増加するという、ある意味皮肉な状況も生んでいます。
さらに、人々の価値観の変化もあります。安楽死を肯定する特に欧米を中心とした最近の風潮、医療解析やDNA研究などの進展による出生前の選別、PTAや障害者団体などに参加することを拒否する若い世代の価値観などです。
私たちが掲げる理念「最も弱いものをひとりももれなく守る」は、その前に「みんなで」という括弧書きがついていたはずですが、若い世代の「みんなで」という意識の低さが、グループ活動や家族会、ひいては守る会活動への参加者の減少という形で表れています。


このような社会環境の変化の中で、私たちはどう「守る会」の運動を進めるべきでしょうか。
まず、私たちは一度「自分の子供を自分が守る」ということから離れ、「全ての重症心身障害児(者)を守る」にはどうしたらよいかを考えることから出直してみる必要があるのではないでしょうか。確かに、親だから子を守るということは最初の出発点の強い動機となり、運動を進める原動力となったことは間違いありません。
しかし、そこにこだわると、「子は親のもの」というエゴイズムにもつながり、「親亡き後」を心配するあまり、親より先に逝ってほしいなどと考える人も出てきます。
少なくても県・守る会は、親の立場からという狭い考え方ではなく、「人として」重症心身障害児(者)を守る活動を進めていきたいと思います。
そのような考えを根底に持つことが、親をことさらに必要としない社会環境の実現につながり、「親亡き後」への解決の近道になるものと信じます。
具体的には、兄弟姉妹の方にも積極的な参加を呼び掛ける事、第三者の方々にも、例え賛助会会員という形であれ、これまでに以上に幅広い方々に守る会活動へ関わっていただくことをお願いするようにします。


糸賀一雄先生がおっしゃった「この子らを世の光に」ということが、当時とはまた違った意味をもって迫ってきます。
科学や医療技術の進歩で「命」を操作できる、あるいは操作しかねない現在、命の尊さを身をもって示し、懸命に生きている重症心身障害児(者)の姿が社会に問いかける意義はますます深く、重いものがあると考えます。
そのことを忘れず、できるだけ多くの方の共感を得て、当事者の立場から考えた問題提起とその解決のための活動を進めてまいります。
みなさまのご支援とご協力をお願いいたします。